腰痛症について

一年ぶりのブログの更新です。
今回は、腰痛症について述べてみたいと思います。

腰痛は日常もっともありふれた訴えですが、必ずしも十分に理解されているとは言えま せん。日常生活や習慣などを改善するだけで解決するものから、重大な疾患の前触れであ るものまで、その原因は様々です。ここでは、よくはり灸治療で多く見かける疾患につい て、その疾患の概要と治療を紹介します。

下の表は、病態よりみた腰椎部位別の 疼痛の特徴と代表疾患をまとめたものです。主として椎間板、椎間関節などに由来する体 性痛と馬尾、神経根に由来する根性痛では、疼痛の部位種類に当然違いがあります。これ らの特徴を十分理解して、診断・治療を行っていくことが重要です。

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<腰痛の種類>
1)椎間板性疼痛(椎間板変性症、変形性腰椎症)
2)椎間関節性疼痛(椎間関節性腰痛、腰椎分離症)
3)腰椎不安定性による疼痛(腰椎分離すべり症、腰椎変性すべり症)
4)神経根性疼痛(腰椎椎間板ヘルニア
5)馬尾神経根絞扼による疼痛(腰部変性脊柱管狭窄症)
6)腰背部筋の疼痛(筋・筋膜性腰痛)

<腰痛治療>
腰痛の治療は、急性期と慢性期では治療が当然異なります。急速な麻痺の進行とか膀胱直腸障害、そして、強い痛みを訴える場合は、医師の治療に委ねるのが懸命です。また、漫然と治療を続けるのではなく、定期的に医師の診察を受けることも必要です。その上でもっともよいと思われる治療を選択して行っていきます。

1)急性期
急性期の腰痛では、まず安静臥床が最良の治療です。大部分の急性腰痛は、安静により数日間で軽快します。痛みが峠をこしてから専門医を受診されても遅くありません。しかし、発熱、嘔吐、下痢、頻尿などの随伴症状や膀胱直腸障害(尿、便の排泄障害)、麻痺を伴う場合は、すぐに専門医の受診が必要です。また、安静臥床でも我慢できない痛みの場合には、何か重大な疾患の始まりのことがありますので、急患として受診をお勧めします。この時期に、はり灸治療に来られる患者さんも多いのですが、基本的には安静臥床が一番の治療です。

2)慢性期
慢性腰痛に対する宮の上鍼療室の治療を紹介します。治療内容は、患者さんの症状に合わせ、いくつか組み合わせて行っています。

1)温熱療法
腰痛の原因が何であれ、痛みが起こるメカニズムには局所の循環障害が関わっています。さらに、局所の筋攣縮も痛み発生メカニズムの悪循環の要素になっています。温熱療法は、局所の血流を改善し、筋緊張を和らげるので、有効な治療手段です。当治療室では、遠赤外線治療器(サン・ビーマー)を使用しています。

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2)牽引療法
腰痛に対する牽引療法は、よく行われる理学療法です。牽引力を間欠的に加えることによる腰部へのマッサージ効果も兼ねています。慢性期の腰痛に適していますが、急性期にはかえって筋攣縮を強くするので好ましくありません。最初、10日~14日間連続して牽引すると椎間孔の拡大とともに、痛みがかなり軽減してきます。その後は、徐々に牽引の間隔を伸ばしていきます。主に椎間板ヘルニアや椎間関節性腰痛などに効果があります。

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3)スーパーライザー
スーパーライザーは、光の中でもっとも生体深達性の高い波長帯の光を、高出力でスポット状に照射することを可能にした初めての光線治療器です。照射された光エネルギーは、局所において熱エネルギーに転換されます。痛みはまったくなく、感覚的に鍼や温灸のような心地よい刺激感、温感を与えます。光線照射が血管の拡張、生体活性物質の生産を促進する作用、さらに神経興奮性の抑制などに関与し、鎮痛や消炎に効果をもたらします。

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4)マイナスイオン療法
マイナスイオン療法は、電位(マイナスイオン)の働きにより、血行を促進し、血管の周囲にある平滑筋に作用し血流量を調節する作用があります。また、内因性発痛物質を排泄しますので、痛みを緩和することができます。さらに局所に大量に発生している活性酸素を抑制するとともに、内因性抗酸化物質(SOD)の活性を増大させ、炎症を鎮めます。さらにマイナスイオン療法は、痛みの伝達経路を遮断するオピオイドペプチド(β-エンドルフィン)の分泌を高めますので鎮痛効果が高い治療法です。

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5)鍼通電療法(パルス療法)
鍼通電療法は、鍼麻酔と同じように鍼に通電して症状の治療を行う療法です。日本においてもペインクリニックで安全な鎮痛方法として紹介され、現在、各方面で独自に臨床応用され、鍼の麻酔効果と同じようにその認識が高まっています。この鍼通電療法は、筋肉の血行を改善し、こりをほぐすのにとても有効です。また、筋肉を刺激することで筋肉を支配している神経に含まれる求心性神経を興奮させ、中枢神経に信号を送ります。この信号は、鎮痛系を賦活したり、反射によってホルモンの分泌や自律神経を調節します。

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6)灸治療
腰痛症はわれわれ鍼灸師が遭遇する”痛みの疾患”の中で、もっとも多い疾患です。その原因はいろいろありますが、特に筋・筋膜性腰痛や冷えを伴う腰痛患者には、灸頭鍼や灸療法がよく効くようです。鍼の響きと灸の与える温熱作用が、なんともいえない心地良さをかもし出し、根強い愛好者もいます。

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 <2012-12-03 投稿>

 

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